コラム
生物多様性を生かした草刈りで病虫害を疎遠なものに
こんにちは、いにしえの井形です。
私が運営するワイン用の葡萄畑では、自然の生態系に近づけることを目指し、「自然な畑づくり」を心がけています。たとえば「草刈り」においても、生物多様性を取り入れた方法を実践しています。
植物ごとに無数の微生物や昆虫が共生しており、それぞれの植物に異なる生物が付きます。これこそが、多様な生態系を保つための重要な理由です。
家庭菜園やプランター栽培をされた方なら、トマトにアブラムシがつきやすいことや、レタスにナメクジがつくことなどを経験されているかもしれません。
植物ごとに異なる害虫が寄り付く現象は、まさに自然界の特徴です。
畑に多様な植物が生えていると、特定の害虫が大発生しにくくなります。なぜなら、肉食昆虫が多くの種類の草食昆虫を餌にできるためです。
単一作物だけが広がっている畑では、特定の草食昆虫が増えやすく、益虫の力だけでは防ぎきれないほどの害虫が発生してしまうことがあります。
私の葡萄畑でも葡萄は主な作物ですが、下草が多様に茂るように、勢いの強い草だけを粗めに刈り、春から秋にかけて異なる種類の草が共生するようにしています。
このような「粗い草刈り」によって、畑の生態系を多様化し、害虫の大発生を防ぎ、自然なバランスを保つことを目指しています。