直接的な影響だけではなく、間接的で目に見えないことに意識を向ける
畑作業をしていて気づいたことを書き記します。
わたしたちが掲げる生態適合農業は、「生きものとの共生」が主たる視点です。
自然界において、土壌の微生物から小さな虫、地上にいる虫や小動物たち、そして、そのエリアを出入りする鳥や獣などの動物たちの行動がお互いの生息を可能にし、多様性と成長を促しているものと考えています。
『生きものを生産に役立てる』という起点から見てしまうと、
作物に被害を及ぼす害虫を狩りしくれる『益虫』にいてもらうことが重要になります。
ですが、その益虫だけにフォーカスして、それ以外の虫は関係ないと思ってしまうと、それは農薬の代わりに虫を活かしているだけで、本質は何ら変わらないと私は考えます。
もし益虫以外の虫や小動物がいたら「この虫は食害や病気予防に役立たないから不要」としてしまうのではないか。
アメリカのイエローストーン国立公園では、人が絶滅させてしまったオオカミを放したところ、生態系が回復し、植物が繁茂し、川や水たまりがととのり、生き物が生息くしやすくなったなど、思わぬところによう影響をもたらしたそうです。
ただ、同時にその否定的意見も見られ、生態系を回復させたのはビーバーだとか、オオカミの影響は、とても小さく他の肉食動物の方が影響力が大きいとか話題になりました。
本質の大部分は、私たちの知りうるところにはなく、目に見えないところにあり、植物を含む多様な生きものたちが複雑に影響しあうことで成り立たせているのではないかと考えます。
結果として良くなったのであれば、それで良いし、どれが一番かなどは人の都合で変わるもの。
私たちが知っていることだけでは成り立たないのが自然の環境で、それを受け入れることで、目に見えないものにも意識を向けられるのかもしれない。
そういった事例からも、私たちは「作物を育てる」という”不自然”は続けつつも、今の農業をより自然に近づけることで得られる地球規模のメリットは、私たちが想像するよりもはるかに大きいはずと考えて取り組みます。