[代表インタビュー vol.18]目的と手段の違い
※こちらの記事は、慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生、林聖夏さんに、弊社代表の伊藤誠が受けたインタビューを書き起こしたものです。
林:
いいですね。その中のこの研究のインタビュー対象者を選ぶときに、もちろんその生態系とかを育むとか自然環境を育てるっていう上で、肥料とか農薬はできるだけ使っていない人を選んだんですよ。でもなんか、ただ使ってない人で選んだわけではないっていうか、なんかそれは違うなって自分の中で思ってて。
今結構自然栽培の人とか農薬肥料を使ってませんみたいなのを大々的にホームページとかに書いてる方が結構いらっしゃるし、近くのファーマーズマーケットでも、そういう人たちが結構出展されてるんですけど、なんだろう、私が目指してるこの世界観を彼らみんなが絶対持ってるとは限らないなみたいな思ったときに、何かそこの肥料、農薬を使わないためにはどうしたらいいか、っていうそういう順番じゃないっていうか、もっと何か、今の伊藤さんみたいな、これなくしてもいけそうとかその空白の部分というか、なんかまた違う視点を持ってらっしゃるなって今感じました。いかに使わないかじゃなくて。
伊藤:
それってもう目的と手段の違いで、自然栽培でやりたいっていう方は自然栽培だということが前提になってくるから、農薬肥料を使っちゃったら、大問題なわけですよ。だから、目的は自然農家であるため、手段として自然栽培をやってるだけなので、なぜ使わないんですかっていうことに対して考え方があまりない方もいらっしゃったりとか、健康のためっていうことでやってらっしゃる方もいると思うんだけど。
でもその大事なのが使わないことになってるんですよね。私も自然栽培をやることが目的ではない、農薬肥料を使わないことが目的でもないので、必要になったら使ってもいいかなと思うんですけど。でもそこにたどり着かない、使わなきゃいけないってことにもならないし、それ以上にやっぱ生態系のことを考えたら肥料を入れたら生態系も壊れるし、農薬入れたら当然なくなっちゃうしと思うと、もう選択肢としてそこはないから一緒なんだけど、目的が違うので、例えば、落ち葉入れることもないし、ウッドチップいれることもないんだけど場合によっては入れてもいいかもしれない。
林:
落ち葉を入れていない理由は逆になんですか?
伊藤:
入れる理由がないからなんだけど。多分落ち葉を入れる人っていうのが、土の中に有機物がないから入れようとか、土の中、肥料分がないから入れようと思っているんですよ。
栄養供給するために使おうと思ってるんですね。なので皆さん使うんですけど、私の場合は、栄養がないとか云々よりも、微生物がうまく活躍して虫が活躍してくれたら、栄養は供給をされるもんだと思ってるので、その虫たちが育ちやすい環境をつくればいいというのがまず最初に出てくるので。雑草が生えてきてくれるんだったら、雑草が旺盛になれば虫たちも微生物も増えるから、それでいいやと思えてしまう。
で、今のところ、落ち葉を入れる必要がないし、入れる理由がないだけかもしれない。もしかすると砂地とかでやるようになったら、ちょっと有機物すらまずないから、生き物たちの生息場所をつくるために落ち葉を集めて、土の中に入れるかどうかはわからないけど、ちょっとそこに置いとこうかなっていうのを考えるかもしれない。今のところ、その栄養供給を目的とした投下っていうのは私には全然価値、意味が、入れる理由がないからやってないだけかもしれないですね。
皆さんは、土の中に黒い良い土だとしても、栄養がないと思ってれば入れると思うので。その辺の違い、目的と手段の違いかと思います。
林:
そこ大事ですよね。結構そこがやっぱり、逆になってるのは、最近特に東京にいると目にするなって感じるんですよね。やっぱりあのブームが来てるんですよね。オーガニックっていうブームが。
伊藤:
そうなんだ。
林:
はい。あのコスメも含めて。コスメとか食べ物とかスキンケアも含めて結構オーガニックっていうのが注目されてて、若い子に人気というかそれを持ってることがかっこいいみたいな雰囲気も若者の中に出てきてるんですよ今。
伊藤:
いいことだね。
林:
いいことではありますね。そこの目的か手段かというところは・・・
伊藤:
その中で私が思うのは、やっぱりブームになってくると、ボリュームが増えるじゃないすか。やっぱり泡が膨らむと同じように、希薄なものが膨らむこともあるわけですよ。本質的なものってすごく少ないことは多いんですね、そういうのって。でもオーガニックの良さを何となくわかってくれる方々が増えてくときに、私達はでもちゃんと本質をおさえておこうと。膨らんだ泡って弾けたりとかしぼんでいくので、しぼんで淘汰されたり、もうオーガニックって古いよねって言ってる方々が出てきていなくなっちゃうんだけど、でも、その萎んだ中にちゃんと私達がしっかり残って、一定の量を抱えていけば、膨らんだものが小さくなってもちゃんと以前よりは大きくなった状態で止まるし、よりそこに本質に触れる方が増えてくるので、着実にまた増えてって、コアが強くなっていくってことも考えているので、ブームが来てよかったよかったと。
でも、それをあのブームは偽もんだとかっていうのは批判をしやすいけども、それはありがたいと。ただ、またいずれしぼんでくるときに、ちゃんと本質を残してその方々にちゃんとアプローチできるようにしとこうっていうのが、なんかいいかなと私達は思ってて。若者たちがやっていて、前流行ったよね、って言って、流行ったけどあれ何が良かったんだろうね、で終わっちゃう方が多いと思うので。ただ、前提としてはやっぱ地球に良いって大事なんだよねっていうように育つのはすごくいいことだと思うし、消費量が減ったとしても、何か投資するときとかお金を使うときに、選ぶんだったらオーガニックがいいよねってなるだけで、全然次の未来が変わってくるので、そこに関われる方々にはちゃんと本質的なところまで伝えるってことはしていけたらいいなと思ってますね。東京にいないからわからないけども、ブームが。
林:
いやあ、そうですよね。
vol.19に続く