1、自然との循環と生き物との関係について【R6.9インタビュー1/10回目】
こちらの記事は、令和6年9月に慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生の林聖夏さんに、弊社代表の井形誠が受けた2回目インタビューのを書き起こしたものです。
林さんは、パターンランゲージという学問を使って、自然と調和する生活を送るためのヒント作りを調査研究されています。
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林:
今日は主に2つ伺いたいことがあります。1つ目は、生き物との関係を深めるということがどういうことなのか、そしてそれがいつ大事だと感じたのか。また、農の実践を通じてどのように変化したのか、農だけに限らずライフストーリーとしてどう変わってきたのかを聞きたいと思っています。私たちの研究テーマから言うと、今またサーキュラー(循環)が大事だということが再認識されていて、自然の循環の一部として生きることがとても大事だと感じています。私から見ると、井形さんもその循環の一部として生きているように見えるのですが、その中で生き物との関係を深める実践をしているように感じます。井形さんご自身の感覚として、循環の一部として生きているという実感がありますか? それともそうではないと感じるところがあるのでしょうか?
井形:
そうですね。循環の一部という考え方は、自分の中ではとても大事にしている部分です。また、私たち人間自身も自然の一部だと考えていますので、その在り方を追求しているのは確かです。ただ、私の生活スタイルが完全にそれに即しているかと言われると、正直あまり即していない気がしています。事業としては、こういう形で農業のあり方を作りたいというビジョンを持っていますが、ライフスタイルに関してはまだまだ足りていない部分が多いです。それでも、少しずつでもその方向に進んでいきたいとは思っています。ただ、無理をすると続かないし、広がらないと思っているので、個人の実践以上に仕組み作りが大事だと感じています。そのため、仕組み作りに関わる人として、少しずつ実践を進めていきたいという感覚です。全てがその方向に寄っているわけではありませんが、自然の一部であり、循環の中に入ることが大事だと考えています。
林:
ライフスタイルは完全にはそうではないかもしれませんが、畑での実践や農業のやり方には井形さん独自の実践があると思います。それは、循環を意識した農のあり方を選択しているということなのでしょうか?
井形:
そうですね。私の捉え方としては、循環という1つの輪のようなイメージよりも、様々なプレイヤーが複雑に絡み合っているネットワークの中の1つというイメージです。畑で言えば、様々な生物や植物が複雑に絡み合っていて、簡単に紐解けないほどの関係性が重要だと感じています。単純に1つの輪になって回っていくというイメージではなく、いろいろなものが複雑に存在していて、それぞれが双方向で関わり合っている、そんな感じですね。
林:
その複雑なネットワークの中で、人間はどのように関わっているかについてはどのようにお考えですか? 人間の位置づけとしてはどういう関係にあるのでしょうか?
井形:
私の考えでは、人間は自然から少し離れすぎてしまっているという前提があります。本来は自然の一部であり、その複雑なネットワークの中で存在しているべきだと考えています。ただ、現状はその理想にはまだ至っていないので、少しずつ近づけていく必要があると感じています。答えが少し曖昧かもしれませんが、その点について他に質問があればお答えできるかもしれません。