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[代表インタビュー vol.11]「森」をつくるための植物のバランス

 ※こちらの記事は、慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生、林聖夏さんに、弊社代表の伊藤誠が受けたインタビューを書き起こしたものです。

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林:

その森をつくろうとしてたときに、リンゴの木を植えているところに協生農法に挑戦しようとしてるっていうのをおっしゃってたと思うんです。野菜とかいくつか植わっているところ。植える苗は、どういうふうに最初選ばれてるんですかね?

伊藤:

苗とかは、もう近くの苗木屋さんで買えるものは片っ端から買った感じです。

林:

片っ端から。もう本当に適当にって感じなんですね。

伊藤:

まず2万円分とか3万円分って言って。

林:

ええ。そんなに。

伊藤:
そう。でもねこれがやっぱりやってよくわかったのが、果樹園なので、下草がねすごく旺盛なわけですよ。

林:

果樹園だからなんですか?

伊藤:

果樹園で草は生えてる状態なので、すぐ背丈が高くなる。そのとき、野菜とかってものすごく弱い品種なので、すぐ草に負けちゃうんですよ。結局草に埋もれてしまってもう今はほとんど何もない状態になったのでなので、順番が違ったなと思ったんです。木がまだちょっとしか生えていない。木が大きくなって、日よけをしてくれたら、下草の勢いが収まるじゃないですか。

林:
そうですね、日光が当たりづらいから。

伊藤:

そう。その後でやるべきだったんだなと思ったので、春は協生でやったんだけども、綺麗になくなったので、今は少しずつなんですけど、木を増やしてって、やってます。大きくカバーする木とその中間にちっちゃくできる木とやって、その空間の中にほどよく植物がある感じ。森って10何mのところに木がバーって覆っているんだけど、その下に3、4mの木が細くあって、その下に地面に草たちがパラパラっと生えている感じをよく見るので、こういうイメージかなと。

林:
確かに。例えばトマトとか結構日光が必要じゃないですか。っていうときに、カバーしすぎると、逆に育たない野菜たちもありそうだと思うんですけど、そこを許容する感じなんですか?

伊藤:

それは例えばどういうふうに考えるかで、果樹園として果物をメインで取ろうと思ったときに、果物が一番上にあって、下にある作物たちっていうのは、収益としてどこまで見るか、ていう考え方はあると思うんですよね。そしたら、やっぱり光が必要だった果樹園の端っこの方で、直射日光が当たるところにつくってあげるとかっていうのも大事だと思うし、逆に中の方で日が当たりすぎない方が喜ぶ野菜とかもいると思うので、そういったのを分けて植えてあげるってことになるかなと思います。ちょっとまだそこまでは私はできてないので、これからかなって思うんですけど、許容する部分と、意図的に作る部分とかっていうのは、いろいろ織り交ぜてやる必要があるかなと思います。

林:

森いいですね。結構、今考えてるところとしては、この研究で目指してるのが、里山的な農のあり方なんじゃないかなと考えていて。生態系の質というか豊かさ、深みみたいなところは森なんですけど、人間の介在の仕方としてやっぱり里山的なあり方が、作物だけじゃなくて自然環境を育てるっていうときに大事になってくる姿勢なんじゃないかと考えているんですけど、伊藤さんも、すごい里山的な関わり方をしてるなって思って。里山も、ただ放置してると逆に藪化しちゃうけど、それを適宜間伐することで、逆に豊かになるっていう考え方っていうのとすごい近いなって感じました。

伊藤:

すごいヒントになってますよね、そこの考え方って、私達にとっても。結局、森の今、国土の2%ぐらいしか原生林がないって言われてるんですよ。何かしら人が入ってしまった結果、薮化してしまうことになったんだなと思うんですね。広葉樹を植えたとしても、高い低いとかやっぱそこまで計算できてるかどうかとか、やっぱ自然の複雑系に近づけてないからこそ、手を入れなきゃいけないってなってると思って。そこは人が介在しようでいいと思ってるんです。うん。放置するのはやっぱり過去、私達がやってきた責任として良くないと思うので、手をかけつつ、山奥の環境を近づけようと思ったらここは切ってこれを植え替えてとかっていうのが出てくるし、何かしら哲学を持ってやるべきだと思うので、それはもうやってらっしゃる方々が多分いらっしゃるので、それは私達もいただいて、勉強しながら、それを里山と果樹園を近づけるみたいな感じだと思うんですけど、全くの畑と山っていう切り分けたものを両方ある中に、だんだんと交わっていって、一体化してくっていうのが一つの理想、理想というか次のステップかなとは思ってますね。

林:

畑と森。確かに。

伊藤:

同じ植物を人の都合で分けてるだけなので。それをいろんな関係性を持ってる方が、植物が育ちやすいっていうのも何となく私もわかってきたので、切り離すんじゃなくて、一体化してくっていうのもそうだし、グラデーションっていうか私達の会社であわいっていう言葉が大事なキーワードになってるんですけど、どっちかっていうすみ分けをしっかりするんじゃなくて、どちらでもある。山でもあるし畑でもあるみたいな、っていうのは大事なポイントだと思ってる。自然を見るときに。そのあわいの形を、あわいを意識できると、私達がやろうとしたことが見えてくるのかなと。畑と山っていう切り分け方は辞めてく必要があるかなと思ってて。100年後に、自然の中に食べ物があるのはまさに、それがその最終形なのか次の形なのか、かなと思ってるんですね。

林:

いいですね。あわい。100年後、実現してそうですね。

伊藤:

うん。なんか小さくても始まってる気はするんだよねそういうのが。

林:

確かに。

vol.12に続く

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株式会社いにしえ
株式会社いにしえ 山形県天童市糠塚2丁目3−11 023-616-7555 自然栽培の原料で、伝統文化などから健康に役立つ製造法で商品を作り販売する会社。

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