[代表インタビュー vol.16]まだわからない世界だからこそ、そこにあるグラデーションを壊さない
※こちらの記事は、慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生、林聖夏さんに、弊社代表の伊藤誠が受けたインタビューを書き起こしたものです。
伊藤:
土の中、表層数cmの中の出来事ではあるんですけど、地上のことよりも、多分時間がかかると思うんですよ。変化するのに圧倒的な時間が。それを取り戻すことってなかなか難しいので、やっぱり負担をかけないっていうことが大前提にしなきゃいけないかなと思ってますね。
掘ればいいとかっていうもんでもないし、理想としてはやっぱり空気がだんだんと薄くなってくるわけです、土の中って。酸素が薄くなるから、そこに住む微生物も、好気性菌っていう空気が好きな菌から嫌気性菌っていって嫌いな菌までグラデーションでいるはずなんですよ。そのグラデーションを守ってあげることが大事なので、機械で起こしたら単一で土ができちゃうじゃないですか。そこに多様性ができなくなってくるので、上から下まで、多様性がある微生物層ができてくると、多分根っこが吸う栄養とかもいろんなバランスで吸収できる気がするので、窒素分みたいな大量に必要なものから、微量栄養素っていうものとか、私達がわかってない必要な栄要素もあると思うので。
わからないけど多様性があれば、何かしらうまくできてんじゃないかなと思うので、それを土の中で再現したいなっていうか、そういうふうになるために邪魔しないようにしたいなという感じで考えてますね。
林:
結構、好気性の菌とかが有機物を分解してくれる菌っていうのがあったりとか。
伊藤:
でもね、嫌気性も分解するんですよ。だからやっぱグラデーションが必要なんですよね。0じゃないしいろんなのがいてまだわからない世界なので、どっちかって決められられないからこそ、わからない部分も該当するように、グラデーションとかあわいみたいな感じの考え方をうまく理解して当てはめてあげないといけないかなと思うんですよね。
林:
確かにそのかき混ぜることで、なんだろう、菌の生息しやすい環境を壊してるっていうので、好気性、嫌気性が本当にもうバラバラになっちゃうっていうのは、あるなと思いますね。
伊藤:
コロニーっていってさ、菌が集まって何かをつくっているわけですよ。それを1回で壊してしまって、またゼロからつくらなきゃいけないっていうのを考えたら、なんかやっぱなるべく耕さずにやってあげたいなって。逆に肥料とか提供しない分、彼らが分解してくれたものが栄養になるから、彼らの動きを邪魔しちゃいけないわけですよね。うまく育てようと思ったら。
無農薬無肥料だから大きくならないっていうのは、そこを無視してるからそうなってんのかなと思うと、じゃあ微生物たちがつくり上げてきたものをちょっといただくためには、そこを、草をむしって、土をほっくり返したりすることじゃなく、ちょっと草を分けて食べさせてもらって、ちょっとそこの栄養をくださいっていうぐらいの方が、もしかしてうまくできるかもしれないし。そこに技術の発展を加えていくことで、農薬も肥料もいらない栽培っていうのが確立していくかもしれないなと思ってますね。
vol.17に続く